パチンコ屋さんの裏に捨てられていた生まれたばかりの子猫を家に連れてきて、哺乳瓶でミルクをあげるところから、大事に育ててきて十三年。
立派な三毛猫の女の子に育ちました。
トイレもすんなり覚えて、壁を引っ掻いたり、障子を破ったりすることなく、特に大きな問題行動もなく育ってきました。
可愛がって育ててきたので、少し甘えん坊のお嬢様気質に育ってしまいましたが、そこも可愛いです。
抱っこしろと言われたら抱っこして、おしりぽんぽんが好きなのでずっとぽんぽんして。
家の中での後追いをするくらいなつっこい子です。
十三才になってもわがままお嬢様で、抱っこされたい時に抱っこしないと猫パンチするし、おしりぽんぽんを止めると手が止まってますよとばかりにニャーニャー鳴きます。
そんな三毛猫のハルさんに、令和三年になってライバルが現れました。
赤ちゃんです。
新生児が家に来たのです。
今までなんでもかんでもハルちゃんが一番で、ハルちゃんばっかり可愛がられていたのに、赤ちゃんが来たとたんに赤ちゃんが一番になったのです。
ハルちゃんが抱っこしてと鳴いても、赤ちゃんが泣いていると赤ちゃんをあやすことが優先されます。
家の人の腕枕で寝ていたのに、寝室は赤ちゃんに乗っ取られ、入ることもできなくなりました。
ハルちゃんとしては大変不服だったのでしょう。
猫歴十三年にして、赤ちゃん返りが始まりました。
家族が食事のために椅子に座った瞬間に膝にのり、おしりをぽんぽんして欲しいと要求。
トイレに入れば中にいるんだろ、開けろ、とばかりにトイレの前で大泣き。
隙間に自分で入っては出られなくなった助けてくれとばかりに大泣き。
進行方向の床に伸びて倒れ、歩けなくなったアピール。
自作自演の助けてくれコールに余念がありません。
ベビーカーも赤ちゃん椅子も、赤ちゃんが使う前にみんなハルちゃんが入っています。
家族はほんのり困りましたが、ハルちゃんも大事な家族なので、赤ちゃんを抱っこしながらハルちゃんをぽんぽんしたり、なんとかして機嫌をとる日々が続いています。